稲作で大量に排出される籾殻の燻炭は、製鉄保温材として再利用されてきました。ただ、製鉄市場の縮小やコロナウイルスの影響もあり、現在は新規回収が中止され処分が困難な状態となっています。野焼きをするにも、近年では焼却処理の規制も厳しくなっており、行政からの指示等で禁止されている地域も多いです。肥料として使うにも限度があり、現状では費用をかけ、産業廃棄物として処理するなど農家の方にとって大きな負担となっています。
我々は、産業廃棄物である籾殻を産業資源であるバイオ炭に生成する装置の開発を行いました。バイオ炭は温室効果ガス削減に効果的なだけではなく、農地の土壌改良資材として今、農業分野で大変注目されています。日本も脱炭素社会を実現するためにさまざまな施策を設けており、そのひとつとして令和2年9月、J-クレジット制度において「バイオ炭の農地施用」によって削減された炭素の量がクレジットとして認証されるようになりました。
我々は、籾殻の燻炭(籾殻を炭化させたもの)に含有されるシリカに注目し、電子イオンによる活性酸素反応分解メカニズムで籾殻の燻炭から植物性の高純度シリカを低コストで安全にかつ効率的に抽出する装置の開発に成功しました。
※農林水産技術会議事務局研究推進課産学連携室公開資料より%数値を抜粋
惑星探査機のイオンエンジンの応用技術で、省スペース・低コストで導入が可能となりました。メカニズムの詳細については以下のページに記載しています。
応用例を一部をご紹介させていただきます。
■ 電子イオン分解を活用した設備のため、従来の単純な燃焼式よりも、早く、簡単に炭化できる
■ 臭いや煤の排出が非常に少なく、周辺環境の影響が低減されている
■ 連続式なので基本的ワンオペレーションで製造が可能
■ 製造を連続することで、籾殻の自燃温度を活用でき、電力の消費を抑えられる
籾殻シリカ生成機の資料はこちらからご覧いただけます。